4月を迎え、春もいよいよ本番!街のいたる所で花々が咲き、草木が力強く色づき、南風が心地よく吹く季節になりました。そして4月といって「OW」で忘れてはならないのが…そう、あの目玉シールでおなじみのアレです。
「OW」では、毎年4月になると、エイプリルフール・ジョークの一環として、常識もシリアス度もゼロの限定モードを配信しています。通常の「OW」では考えられない特殊なパラメーターやアビリティ、パッシブが各ヒーローに適用されるので、マッチは毎回ハチャメチャかつツッコミどころ満載。おかげさまで、今ではファンの皆さんに愛される「OW」定番行事となっています。今年も本ゲームでは、このエイプリルフール限定モードを「超オーバーウォッチ」として配信!大小さまざまな「新バランス調整」をこのモードのためにご用意しました。じつを言うと、このモードは完全にノリで作られているわけでなく、調整の内容も皆さんが想像する以上の時間をかけて考案・開発されていたりします。今回の「1週間を振り返る」では、エイプリルフール限定モードの知られざる裏側を詳しくご紹介しましょう。
ネタの考案から形成まで
エイプリルフール限定モードの開発工程も他のコンテンツの例に漏れません。実装の数シーズン前から始動し、「OW」に関連するメンバー全員が集う大きな会議でエンジニア、デザイナー、プロデューサーによってその方針が大まかに固まって、はじめて詳しく話し合われます。
最初に行われる話し合いは、いわゆるブレインストーミングと呼ばれるアイデアの出し合い会です。チーム4(「OW」開発チーム)のさまざまな部署に集うメンバーが集まり、シリアスさの欠片もないアイデアを考案しては会議に集まった他のメンバーに提案します。出されるアイデアはヒーローのパラメーターをちょいと捻るようなものから「ルシオが〈サウンド・バリア〉を発動すると、範囲内にいるヒーロー全員がダンス・エモートで踊り出す」という荒唐無稽なものまで多種多様。この話し合いの段階では誰もが縛りに一切とらわれず、気軽にアイデアを提案できます。
この後、4人程度で構成されるTeam 4のコア・チームがブレインストーミングで出されたアイデアをヒーローごとに1つずつチェックし、特に「面白い」、「やってみたい」と感じられたものを優先的にピックアップ。プログラミングなどの一連の開発作業へと回す候補を絞ります。この工程を経てはじめて、既存のアセットを使ったテスト・ビルドの開発とTeam 4の他のメンバーを巻き込んだテストへと発展します。
もちろん開発とテストに入っても、そこからすぐに最終工程に進むわけではありません。「このアイデアをちょっとアレンジしてみよう」といういわゆるアドリブ(テストのフィードバック)がどんどん入るので、この工程の間もコア・チームは大忙し。エイプリルフール・モードの「ネタ」はテスト・ビルドの開発、テスト、フィードバック、アイデアの追加というループを十分に重ねてうえで作り上げられていくのです。
チームワークもエイプリルフール・モードのコンテンツ開発ではとても重要です。エンジニアだけでなく、VFX&SFX担当らデザイン・チームのメンバーもビルドの開発に加わり、テスト・ビルドが本格的に煮詰まった開発中盤に差し掛かると、UIチームや追加のエンジニアを含むさらに大勢のTeam 4メンバーが関わり始めます。また、開発の終盤に入るとアニメーション・チームも参加するので、エイプリルフール・イベントに関与するメンバーは4人程度から最終的にはかなりの人数にまで増加。テスト参加者も含めれば、Team 4の全員が関わります。

意外と重要な「バランス」という概念
これは皆さんも想像に苦労しないかと思いますが、意外性を狙いすぎてその他がおろそかになったモードほどバランスが崩壊していたり、面白くなかったりします。そのうえ、こうしたモードは不具合やゲームプレイ自体の崩壊というリスクも内包しており、実際に過去のエイプリルフール・モードのテストではこれらの問題に直面しました。
サーバーがクラッシュするような事態を回避するべく、チームでは常にヒーローごとの「改造の余地」を意識しながらエイプリルフール・モードの開発にあたっています。じつは、調整・改変のしやすさというのはヒーローごとに大きく変わり、ベースとなるゲームプレイやアビリティがシンプルなほど変更を加えやすいのですが、元からゲームプレイやアビリティが複雑なヒーローにはさまざまな制約が付きまといます。それゆえ、こうしたヒーローに大きな変更を加えることはとても難しいのですが、さまざまな角度から限界ギリギリまで攻めて、エイプリルフール専用の調整&アビリティを1人残らず用意しています。
先述のとおり、考慮するのは不具合のリスクだけではありません。縛りがこれだけであれば、突拍子もないアイデアを他にもどんどん実現できていたと思いますが、対戦相手のストレスも考慮すると、話はまた変わってきます。たとえば、オリーサの移動速度を100%上げるアイデアが挙がったとしましょう。エイプリルフールのネタという面では「オリーサの脚の本数は他のヒーローの2倍だから、動きも2倍」というセオリーが通じて面白いですが、ただでさえ鉄壁の守りを持つオリーサを超高速にしてしまえば、オリーサに立ち向かうプレイヤーからすると戦慄モノです。
こうしたストレス面の問題は通常のバランス調整時と同じく、何度もプレイテストを重ねることで拾い上げており、その状況に応じて仕様を調整または変更しています。ストレス面の配慮は今年の「超オーバーウォッチ」だと、レッキング・ボールを見るとわかりやすいかもしれません。〈ロール〉中にサイズが大きくなるうえ、妨害不可の状態となるので一見するとかなり手強いですが、そのバフと帳尻を合わせるように〈ロール〉中の移動速度はサイズ相応に低くなっています。
また、キャスディの「こんにちは」連動型の特殊ショットも性能自体は強力ですが、通常の「こんにちは」やその他ボイスラインと同じくスパム防止策が取られるため、無制限に連射することはできません(余談ですが、この仕様はそのシンプルさと面白さから、チームの間で好評でした。好評という意味ではウィンストンもそうでしたが…その内容は皆さんの目でお確かめください)。
アイデアと工夫の結晶
私たちがいつも考案・開発するものは、常識の範疇に収まったまっとうなアイデアばかりです。そういう意味で、毎年のエイプリルフール・モードは私たちにとって、内に秘めた夢を叶えるまたとないチャンスといえます(「トールビョーン二段重ね」の光景は、皆さんからすれば金縛りレベルの悪夢に近いかもしれませんが…使うと結構楽しいので、そこはご愛敬ということで)。
「超オーバーウォッチ」の開発は、まさに春風のようないいリフレッシュになりました。皆さんにも同じく、この限定モードを気分転換として楽しんでもらえると嬉しいです。それでは、次回の「1週間を振り返る」にて。面白い(or悪夢の)シーンが撮れたら、ぜひSNSなどに投稿してくださいね、楽しみにしています!