1週間を振り返る:SFX制作の裏側を深掘り!

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1週間を振り返る:SFX制作の裏側を深掘り!

皆さん、こんにちは!半定期的な更新スケジュールを発表してから初の「1週間を振り返る」がやってまいりました。このリンクの記事でお伝えしたとおり、今回は「OW」のサウンド・デザイン、厳密にはSFX(効果音)の世界を探っていきたいと思います。

今から解説を担当するニコラス・ヨークムは、以前から自身のYouTubeチャンネルでジュノやウーヤンのSFX制作秘話を解説している「OW」のシニア・サウンド・デザイナーです。チャンネルの動画は、効果音を構成する各パートのブレイクダウンも聞けて興味深いので、よろしければご覧になってみてください。本記事でニコラスはなんとSFX全般の裏側だけでなく、ドミナのSFX制作秘話も紹介してくれるそうです。それではさっそく、ニコラスにバトンタッチしましょう!

理想のサウンドを求めて

SFXの材料となりうる音は、周囲のあらゆる場所に存在します。そして、そうした音を感じ取ることはもちろんのこと、その本質を理解することも難しいため、SFXの制作は、決して見たり触れたりできない未知の存在を探っている感覚に近いものがあります。私がウーヤンやジュノのサウンド・デザインの過程を動画で公開したのは、「OW」のファンやサウンド業界に足を踏み入れた人に「音」というものをもっと身近に感じ取ってほしい、という想いがあったからです。

それだけでなく、私は以前から「サウンド業界の門戸を開く」という言葉を意識しています。

私は音楽学校で専門知識を学んでエレクトロ・ミュージックのシーンに飛び込み、その後サンプリングの業界に入って現在に至るのですが、一時期はキャリアを切り拓くうえで誰と関わればいいのか、どこに向かえばいいのかわからず、苦悶したこともありました。自分とサウンド業界との間に大きな壁がそびえ立っていて、向こう側の様子をうかがい知ったり、足を踏み入れることができなかった、と言えばいいでしょうか。私が公開しているサウンド・デザインの動画には、SFXの制作過程を知ってもらうだけでなく、次世代のサウンド業界を担う人たちと業界との間の壁を取り払い、橋渡しをしたいという願いも込められています。

もちろんサウンド業界と無縁であっても、私の解説動画を見ることで、日ごろから「OW」で聞いている音の秘密がわかり、いつもとは違う驚きや面白さを見つけられるでしょう。「OW」は特に、無数の効果音が遠方・周囲を問わず同時に鳴り響くカオスな世界です。普通にプレイしていては聞き逃してしまうようなディテールや差異、そしてSFXの世界そのものを、今回の記事や動画を通じてもっと身近に感じてもらえたらとても嬉しいです。

私がTeam 4(「OW」開発チーム)に入ってから最初に手掛けたヒーローはジュノでした。私はファンタジーとSFがリアリズムと共存している「OW」の世界が好きなのですが、ジュノのSFXはそうした要素を含むサウンド・デザインの面白さを語るうえでうってつけと言えるでしょう。たとえば〈ハイパー・リング〉の展開時、リングの遠方にいるとキラキラとしたお星さま感のあるサウンドが流れますが、リングに近づいていくにつれて、その音がやがて星雲を思わせるくぐもった音へと変化していきます。また、〈パルサー・トーピード〉のロックオン時の音も、自分が使った時と敵のジュノが使った時とで差別化しているほか、その音も気が散らない程度に感知できるようバランス付けされています。今まで気づかなかったという方は、ぜひゲーム内でジュノを使った際、あるいは他のプレイヤーがジュノを使った際に、意識して耳を傾けてみてください。今後のマッチでより鮮明に聞こえるようになるかもしれません。

サウンド・デザインを手掛ける仲間たち

サウンドという1つの作品の完成度を可能な限り高めたい私としては、仲間たちの知識や発想を可能な限り頭に留めておき(忘れそうな場合はメモに取り)、デザインへと積極的に取り入れています。これは私の解説動画でたびたび言及していることですが、私が手掛けたサウンドは実際に、サウンド・チームや別のチームのメンバーのアイデアやフィードバックをきっかけに生まれることがしょっちゅうです。なので、記事を担当できたこの機会をお借りして、彼らに感謝を述べたいと思います。

また、サウンド・チームのメンバーは、いま皆さんがプレイしている「OW」のサウンド・デザインに大きく貢献しています。普段はレコーディング・スタジオにこもりっぱなしなので、皆さんの前に出る機会がほとんどありませんが、彼らなしでは「OW」サウンドの完成度を今あるレベルにまで高めることは決してできなかったでしょう。今後も解説動画などで、彼ら仲間たちの貢献を皆さんに発信出来たらと考えています。

ドミナ - ラグジュアリーとクリスタルの融合

今年の新ヒーローのうち、私たちサウンド・チームが最初に手掛けたのはドミナでした。ドミナのサウンドは、フルスクラッチだったウーヤンやジュノと異なり、ヴィシュカーのテクノロジー感を出すために、シンメトラのアビリティ音をベースとしています。特に〈バリア・アレイ〉のサウンド制作では、この「ヴィシュカー感」を大きく意識しました。

また、高級感あふれるドミナのビジュアルにサウンドを釣り合わせることも重要だったので、宝石同士が当たる音やグラスを手に持った時の音をサンプリング・合成するなどして、ドミナのサウンドにハイエンド感やラグジュアリー感を可能な限り持たせました。逆に〈パノプティコン〉のSFXには、その脅威を引き立たせるべく、荒々しい破片音をちりばめています。

この記事や私の動画でも感じ取れるかと思いますが、私はサウンド・デザインを心の底から愛しています。幸運にも毎日の仕事として取り組めていますが、仮に仕事じゃなかったとしても、1発のキック音を作るためだけに毎日没頭するような人生を送っていたことでしょう。自分が手掛けたサウンドを皆さんの耳に届けられること、そしてその音についてポジティブな評価をいただけるのは、サウンド・デザイナーの1人として冥利に尽きます。これからも私たちのサウンド制作を応援していただけると幸いです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。ぜひ「OW」でいろんなヒーローのSFXをじゃんじゃん鳴らしてください!

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