
皆さん、こんにちは!今週から、クイック・プレイやライバル・プレイ、スタジアムなどの詳細を私たち開発チームの視点からご紹介する新シリーズ「1週間を振り返る」をお届けしていきます。これからデータやデザインの舞台裏、未公開の新情報などをどんどん公開する予定なので、どうぞ楽しみにしていてくださいね。
さて今回の第1弾では、ギャビンが新システム「ヒーローBAN」の分析データを公開。BANが多いヒーローとその理由を、データと照らし合わせながら深掘りしていきます。それでは、お楽しみください!
- 「オーバーウォッチ 2」開発チーム一同
どうも、ギャビンです。ミッドシーズンを迎え、シーズン16も後半へと入りました。ここで、今シーズンから導入されたばかりの新要素「ヒーローBAN」に関する動向を、グローバル・インサイト・チームとサーバー・エンジニアが収集したデータと照らし合わせながら、詳しくご説明していきたいと思います。BANされるヒーローをプラットフォーム、地域、ランク別に分析したところ、じつに面白い結果が判明しました。これから細かい数字がたくさん出てきますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。
まずは、プラットフォームをPCとコンソールの大まかなくくりに分けたうえで、各ヒーローのBAN率を見ていきましょう。最初にお見せするグラフがPC版のもの、2つ目がコンソール版のものです。
PC版では、ソンブラのBAN率が85%と突出して高く、続いてザリアが2位(59%)、ドゥームフィストが3位(43%)にランクインしています。
コンソール版だと、ソンブラのBAN率は93%とさらに高くなります。こちらのプラットフォームの第2位はザリア(57%)、第3位はシンメトラ(23%)です。
PC版の場合、新ヒーロー、フレイヤの活躍が目覚ましいこともあり、彼女のBAN率は日を追うごとに上昇。現在27%にまで到達しています。
ですがその一方で、コンソール版でのフレイヤのBAN率はかなり低めです。
PC版で最もBAN率が低いヒーローはバティスト(0.16%)、コンソール版ではハンゾー(0.24%)です。
ヒーローのBAN率は、ランク別に見てもかなり異なります。まず、PC版のマスター以上のスキル帯におけるBAN率をお見せしましょう。
そして、コンソール版の同スキル帯のBAN率がこちら。
コンソール版の最高ランクでもやはりソンブラのBAN率が高めですが、一方のPC版では、全体平均ほどの高さを見せていません。タンクヒーローとしてランク全体を通してBANされることが多いのはザリアですが、マスター帯に絞って見ると、コンソール版、PC版ともにD.Vaがタンク部門のトップに君臨しています。サポートの場合、PC版ではアナが、コンソール版ではマーシーがそれぞれ最も多くBANされています。ゼニヤッタのBAN率がコンソール版よりもPC版において高いという点にも注目です。
BAN率の差は地域ごとにもあり、マスター以上のランク帯のロールキューでは、その差が顕著です。もちろんロール別のBAN率トップは、地域を問わずフレイヤ、D.Va、アナですが、それ以外のヒーローに細かな違いが見られます。たとえば、ヨーロッパとアメリカ地域ではマーシーとレッキング・ボールのBAN率が高めですが、韓国では、この2人に対する警戒心がかなり低めです。その韓国のBAN率はかなり偏っていて、ごく少数のヒーローがBAN率の多くを占めています。ソジョーンのBANがヨーロッパとアメリカ地域で多い一方、韓国で低い点も面白い特徴でしょう。
注目点は、ヒーロー別のBAN率だけではありません。1回のセッションごとにBANの投票に投じられたヒーローの人数、言い換えればプレイヤー間の投票の一致率もランクに応じて異なります。たとえば高ランク帯では、BANされるヒーローがチーム別にそれなりに固まっていて、グランドマスターになると、BANに投票されるヒーローが約4人にまで絞られます。その一方ブロンズでは、BANに投票されるヒーローがチームごとに約6人と、チーム内での意見の不一致が大きめです。この不一致が最も大きいロールがダメージで、その次にタンク、最後にサポートと続きます。ちなみにグランドマスターでは、ロールを問わずBANするヒーローの一致率が高めです。各ロールの影響度が最高ランク帯でほぼ均一になることが以前のデータでも示唆されていましたが、今回のデータにも同じ傾向が見られます。
さて、私たち開発チームが上記のデータに基づいてどのような施策を導入していくのか、皆さんも気になっているはずです。チーム内のヒーロー・デザイナーも「このデータから得られた情報はとても興味深い」と話していましたし、実際、私たちは今後のバランス調整にこのデータも活用していくつもりです。たとえば、ニッチだったり、特定のマップに特化しているヒーローが、活躍できそうなマッチで必ずBANされてしまうようであれば、該当のヒーローの汎用性を高めていくでしょうし、あまりにも不人気すぎるヒーローに対しては、パフォーマンスの程度を問わず、さらなる調整を入れていくかと思います。ですが、これはあくまでも今後の話であって、BANの統計に基づいた調整にはまだ取り組んでいません。ヒーローのBAN率だけが今後のバランス調整に左右するという訳でも決してないので、こちらにはご留意くださいね。
このシステムそのものには、私たちチームもおおむね満足しています。開発当初に掲げていた目標の大半を達成できましたし、今後ヒーロー別の勝率やピック率を公開していく過程で、このシステムがどう進化していくのか楽しみです。
いま考えている変更プランには、「BANの票数が同じになった際に『希望(使用)するヒーロー』を考慮する」というものがあります。
ヒーローBANの実装後、マッチの42%で7票または5票の同点が発生していました(各プレイヤーの第1選択は7票に、第2選択は5票に相当します)。現在、複数のプレイヤーがそれぞれ異なるヒーローに投票して発生した同点にはランダムで順位を付けていますが、これはヒーローBANの趣旨にあまりそぐわない仕様です。上記のデータのとおり、低ランク帯だとBANの候補がプレイヤー間で一致しない傾向にあるので、この際「希望するヒーロー」をマイナス1票としてカウントしようという訳です。
各プレイヤーには3つの投票権、合計にして15票が与えられるので、1票だけであれば、BANの選考に大した影響はありません。この仕組みが導入されれば、もし票数の同じヒーローが複数いても、皆さんの希望に応じたBANの優先順位を付けられるでしょう。もし導入するとしても、マイナス票を二重には加算しないつもりです。たとえば、ダメージ・ロールのプレイヤー2人がウィドウメイカーを希望しても、彼女に対するマイナス票は1つとしてカウントされますし、自チームのマイナス票が、相手チームのBANの投票に適用されることもありません。皆さんはこの仕組みについてどのように考えますか?このアイデアに対する感想があれば、ぜひお送りください。ヒーローBANのその他の要素に関するフィードバックもお待ちしています!
ヒーローBANと、シーズン17で導入予定の新要素「マップ投票」には、皆さんの声をもとに改良を次々と加えていくつもりなので、今後の発展にご期待ください。6月20日にはライバル・プレイ恒例のドライブも始まります。こちらにもぜひご挑戦を!今回の記事はデータばかりで読み応えがあったかと思いますが、ここまで読んでくださった熱心なライバル・プレイヤーの皆さん、本当にありがとうございました。これからも激闘を制し、敗北をも糧としてまい進されることを願っています。