ディレクターの視点:スタジアムの統計まとめ

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ディレクターの視点:スタジアムの統計まとめ

皆さん、こんにちは!アーロンです。先週、Emonggさんの配信で私たちが実施した質問コーナーにご参加いただきありがとうございました。皆さんのスタジアムに関するご意見はいつも大変参考になります。今回の記事のテーマは、そのスタジアムで私たちが収集した統計と、そのデータの内容を踏まえた今後ゲームバランスの調整についてです。

スタジアムが開幕してからこれまでに、重要かつ実に興味深いプレイ・データが集まりました。皆さんの実際のゲームプレイは、このモードの配信前から重ねてきたテストやアイデアの検討とは異なり、私たちの手では決して検証できない重要な要素。このモードで機能している点や、逆に機能していない点、注意が必要な点を確認し、それらを今後のヒーロー、アイテム、パワーのアップデートへと定期的に反映していくうえでとても重要です。

これから、データアナリストのベン・トラウトマンが、皆さんのプレイ・データの詳細と、そのデータに基づいてこれから実施するバランス調整についてご紹介していきます。


皆さん、こんにちは!ここからはアナリストの私、ベンがスタジアムの統計とバランス調整について解説します。まずご紹介するのは、このモードの中核的要素であるビルドの統計と、それを踏まえたバランス調整ついてです。Redditで実施したスタジアムのAMAでは、ビルドの詳しい作り方――端的にまとめれば、それぞれ特徴が異なるパワーとアイテムを組み合わせて、ヒーローのプレイスタイルを変えていく方法――をご紹介しました。各パワーとアイテム、それらの無数の組み合わせが持つ特性の違いを把握して、それをビルドに反映することは、スタジアムに勝つうえでとても重要といえます。

そんなビルドに関する統計と今後のバランス調整の方針を、ジュノのビルドを例にご紹介しましょう。ジュノの次のバランス調整では、「パルサー・トーピード」のクールダウンを短縮できるパワー「スペース・クーラント」が下方修正されます。

今までに集まったデータによると、ジュノのパワーで特に勝率に大きく貢献しているのは「パルサー・プラス」(「パルサー・トーピード」のチャージ数を増やすパワー)で、僅差で「スペース・クーラント」がそれに続きます。この2つのパワーの相乗効果が高いせいで、現在ジュノのプレイヤーが作成するビルドの大半を、この両方のパワーを組み合わせたビルドが大きく締めています。

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たとえば、使用率の最も高いビルド3つのうちの1つ目(ここでは「ビルド1」と呼びましょう)に採用されるパワーは、「パルサー・プラス」、「スペース・クーラント」、「メディミサイル」の3つです。2つ目(「ビルド2」)で採用されている組み合わせは、「パルサー・プラス」、「スペース・クーラント」、「トーピード・グライド」、3つ目(「ビルド3」)のコンビネーションは、「パルサー・プラス」と「スペース・クーラント」の2つと、「スティンガー」や「メディマスター」のような武器パワー強化系のパワーです。

そしてこれら3つの人気ビルドの勝率は大きく異なり、ビルド2が55%でトップ、次いでビルド1が52%、最後にビルド3が48%となっています。

つまり、組み合わされるパワーに「トーピード・グライド」か「メディミサイル」かの差があるとはいえ、「スペース・クーラント」が勝率に主に影響しているパワーであるということ、言い換えれば、「パルサー・トーピード」のクールダウンを短縮する戦略が強いということが、この統計からわかります。この「スペース・クーラント」のパフォーマンスを下方修正すれば、他のビルドが活躍できる余地が広がることでしょう。

ビルドの統計に続いては、ヒーローのピック率についてです。5月2日のホットフィックスのパッチを適用して数日後の5月6日には、状況の変化の有無を可視化するべく、さらなる統計データを収集しました。

このデータからは、プラットフォームとランクを問わず、ダメージヒーローで最も使用率が高かったのがソルジャー76であること、タンクヒーローで最も使用されたのが大差でラインハルトということがわかりました。ジュノも依然として最も使用されているサポートヒーローですが、ホットフィックスのパッチ以降、マーシーとモイラが追い上げてきています。

いま挙げたヒーローのうち、ジュノとソルジャー76のパワーのピック率が今も偏っている点も特筆すべきでしょう。最新のバランス調整でパラメーターを下方修正したにもかかわらず、ジュノの「パルサー・プラス」の採用率は78.1%、ソルジャーの「スーパー・バイザー」の採用率は75.4%と、これらのパワーはいまだ高い人気を誇っています。ラインハルトの場合、「マグマ・ストライク」または「このカボチャ頭が!」を採用するビルドが32.8%と、先の2人のヒーローに比べると、若干ではありますが、まだ幅広いビルドが活躍しています。 

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統計的に注目すべきものは、人気の高いビルドとヒーローだけはありません。ルシオの勝率はPC版58%、コンソール版57%と、全ヒーローの中でも抜きんでています。メイもコンソール版に限りますが、高スキル帯で同様の勝率を記録しています。D.Vaもコンソール版のタンク・プレイヤー間で圧倒的に高い勝率を誇っていました。ただし、彼女のこの勝率は直近のスタジアムのバランス調整を導入するまでのもので、現在は下方修正された結果、他のタンクヒーローの勝率がコンソール版で上がり、結果としてD.Vaのコンソール版(高スキル帯)における勝率は2位となっています。

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さて、ベンの解説はいかがでしたか?

私、アーロンからも、スタジアムでの途中退室率に関する最新情報をお伝えしましょう。当初、途中退室率は7%と報告していましたが、データの収集方法を少し調整した結果、PC版の途中退室率はほぼ12%でした。マッチ数を重ねるほど途中退室率は下がるため、途中退室者の多くは初めてスタジアムをプレイした方と考えられます。スタジアムはまだリリースされて間もないゲーム・モードです。今後数週間のうちに、途中退室率は下がっていき、もっと低い数字に落ち着くかと予想しています。

スタジアムのバランス調整に関する方針は、「オーバーウォッチ 2」のその他のゲーム・モードのものとは少し異なります。もちろん、皆さんそれぞれにMVPを取れそうな感覚――他のプレイヤーとのパフォーマンス面での均衡を打ち破れるかどうかの瀬戸際――を体験してもらいたいとも思っていますが、それと同時に、フィールド上でのスキルとアーマリーでの戦略の両面で、各プレイヤーの努力や工夫に見合った達成感を届けたいとも考えています。そして一部のビルドが、特に低スキル帯において、圧倒的な強さを見せ始めているので、こうしたパフォーマンス面で突出しすぎたビルドを、今後のパッチで調整するつもりです。

マッチの多様性も同様に、スタジアムにおいて重要な要素です。ラウンドを重ねるごとにヒーローが強くなっていき、マッチごとに必要な戦略が変わっていく感覚や、時にはキャリーとなり、時にはサポートに徹する臨機応変な立ち回りの変化を重要視しているので、ライバル・プレイの高い競技性とは一線を画する「カジュアルな競技性」をこれからも維持できたらと考えています。

それでは、今回はこれにて。スタジアムに関する皆さんの貴重なご意見に、あらためて感謝します。引き続き、このモードでの熱いランク争いをお楽しみください。ともに素晴らしいゲームを作っていきましょう!

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